宝物が見つかる「町の古本屋」を目指して

生成りのブックカバーの本棚に並んだ本


本の価値っていったい何で決まるか?
唐突に答えのないような哲学的な問いだが、僕はふとした時によくこのことについて考える。内容の濃さ、写真のクオリティー、制作にかかった費用や時間。当然定価で販売されている本には、これら全てが加味され、価格が設定される(もちろんこれだけではないのだが)。しかし古本に関して言うとどうだろう。重要視されるのは、希少性や本の状態、そして単純に需要が多いかどうかなど、内容ではなく本自体の物としての価値で評価されているように思える。ただ、別にそれは良い。本だけではなく、ビンテージやアンティークという言葉が使われるものには大抵当てはまる事ではあるし、人気のレア物は高くて当然だ。僕が憂いているのは、素晴らしい内容で、かつ希少な本が、ゴミのような扱いを受けて販売されていることだ。

本棚に並んだ本

僕はよく、古本屋に行く。ここで言う古本屋とは、大型チェーン店ではなく、所謂「町の古本屋」のこと。わざわざ古本屋に行かなくたって、ネットで買えば済むと思うかもしれない。僕だって「欲しい本」があれば、ネットやブックオフなんかで買うこともある。ではなぜ、わざわざ不便な町の古本屋に行くのか。それは「欲しいけど知らない本」を買うためだ。

モノクロの本棚と本

一度試してみてもらえばわかると思うが「欲しいけど知らない本」をネットで買うのは物凄く難しい。そもそも知らないのだから検索ワードは曖昧にせざるを得ないし、それらしき本を見つけたとしても、内容は想像するしかない。その点、町の古本屋はジャンルに特化した専門店が多いので、まず欲しいジャンルに強い店に行けばいいし、内容がわからなくても実際に手に取って見れる。もしカバーがかかっていて見れなくても、その道のプロの店員さんがちゃんと教えてくれる。そしてなにより、信頼する古本屋が付けた値段であれば、納得して買える。

本棚から取り出されている本と男性の手

ちょっと脱線するが、古本屋の仕入れ方法をご存知だろうか。これは大きく分けて3つあり、1つ目は、古書組合に加入している店同士が定期的に開催している交換会での仕入れ。2つ目は、持ち込みや出張での個人からの買取り。そして3つ目が、他店からその店の販売価格で買取るセドリだ。あと古紙回収の日にゴミ捨て場を漁るという荒技もあるが、それは、まあ、バレないように。ここで注目したいの、3つ目のセドリ。今はセドリで稼ぐ人をセドラーとか転売ヤーなんて言葉で呼び、あまり良いイメージではないが、元々は昔からある古本の仕入れ方法なのだ。もちろん人気ゲームや入手困難なチケットなんかを買い占めて、高額で転売する行為は許せない。でも、古本の場合は少し事情違う。

3冊の重なった本

信頼できる「町の古本屋」は、得意ジャンルを集めて、内容や希少性を理解し、適切だと思う値付けをして販売する。そこにはしっかりとした理由がある。仮に100円でセドリした本を1000円で販売したとして、それは悪なのだろうか。単純に、価値に見合わない値段をつければ、その店の評判が落ちるだけだ。

開いた状態の本

さてさて、ここまでダラダラ書いてきたが、結局何が言いたいかというと、まずマークアンドカラーズで販売する「本」に関しては、基本セドリで仕入れている。というか、そもそも僕個人がコツコツ集めた蔵書がほとんどだ。そして、ネットショップではあるが「町の古本屋」を目指している。でも、これで大儲けしてやろうなんて気は微塵もない。ここで気になる本を見つけたら、Amazonなりメルカリなりで検索して、もしそちらの方が安ければ全然そちらで買ってもらって構わない。不当な評価されて埋もれている本が、必要とされる人に届き、そのきっかけになれたのなら本望だ。
だから「欲しいけど知らない本」を探したくなったとき、マークアンドカラーズを覗きにきてくれたら、それだけで、嬉しい。

でも、たまに買ってくれたら、もっと嬉しい。